
一日が終わるひと時、気づけば足先が冷たくなっていることに気付く今日この頃。
瞬きをする前から終わっていた秋は、もはや歴史的季節として奉り、春夏夏冬で統一したらどうだと、くだらないことを考えている。
もうすっかり澄んだ空が日常になり、歩幅が小さくなるこの季節は、やっぱり冬の曲が聴きたくなる。
今回は、BUMP OF CHICKENだと珍しい、そんな季節の曲を聴いていく。
始まりの歌詞に引き込まれるロマンチックな情景
冬が寒て本当に良かった 君の冷えた左手を
僕の右ポケットに お招きするための
この上ない程の 理由になるから
この歌詞で、冬の情景が鮮明に浮かび上がるの私だけではないはず
こんな美しい表現、初めて聴いた時には衝撃を受け。この上ないほどの純白なラブソングを見つけたと当時は思いました。
落ち葉を蹴っ飛ばすなよ 今にまた転ぶぞ
なんで怒ってるのに 楽しそうなの?
続くこの歌詞からも、登場する二人の関係性が想像でき、幸せな時間が思い浮かんできます。
冬景色の中、真っ白な道を二人で歩み、平行線に足跡を残していく。一歩ずつ、しっかり踏み締めて一緒に歩んでいく、その時間があるだけでいつまでも歩いていけると
ラブソングだと思っていた『スノースマイル』歌詞の真意
二人で歩くには 少しコツがいる 君の歩幅は狭い
2番に入り、この一節から少し雰囲気が変わる
1番で見えていた幸せな情景ではなく、君との距離感を図る歌詞が続いていく。そして
君と出会えて 本当に良かった
同じ景色が巡る
僕の右ポケットに しまっていた思い出は
やっぱりしまっておくよ
君のいない道を
最後のこの一節でただのラブソングではなかったことに気付かされる
この”君のいない道を”という言葉で、今まで拾い上げてきた歌詞の意味が変わってくる
たった一言で切なさを浮かばせる作詞力に驚きながら、聴いた人の心を掴み離さない理由がぎゅっと詰まっている言葉なのは間違えない。
隣で歩いていた君の姿があったからこそ、ここまで歩いて来れたこの思い出は、決して忘れないと決意する言葉が、今いない君の姿を鮮明に呼び起こさせる。
過去に作詞作曲者の藤原さんは『ラブソングではなく、人と人という感覚』で制作されたと言っており、また『わかりやすく伝わるように男女の話の雰囲気で書かれている』と。
私は、ここまで美しい言葉で鮮明に情景を浮かばせながら、人と人との距離を思わせられる曲は他には無いと聴くたび感じさせられる。
第一印象で感じる幸せな空間と聴いた後に包まれる切ない感情。それでもただ悲しいだけの曲ではなく、どこか希望の光を失わせない、悴む足をもう一歩踏み出してもいい理由をくれる曲だと私は捉えている。
間違えなく冬の定番曲の一曲
BUMPは、特定の時期や季節を直接的に表現するのは珍しくこの『冬が寒くて本当に良かった』という歌詞のある種の脱力感は、藤原さんの声に乗せられると特別な言葉に思える。
必ず冬になると思い出すこの一曲は、今年もそして来年以降も一緒に歩むことになる一曲で
そっと心にしまっておける一曲だろう