
たった一人で想いに耽る時間
きっとこれからも積み重ねていくだろうこの時間でも
今だけはそのどの時間よりも特別な時間なのは確か
君がこの最後の夜に隣で眠っているのだから
僕だけの君でいる最後の時間に

テーブルの上に 缶ビールとコンドーム
隣で眠っている 僕の恋人
冒頭にあるこの歌詞が、やはり一番頭に残る
この一節だけで、鮮明に色濃く情景が思い浮かぶことだと思う
月明かりだけが差し込む暗い部屋
さっきまでは「普通の時間」を過ごせていた
いつものように、缶ビールを片手に乾杯をして、何気ない話で時間を誤魔化す
不意に出る彼女の言葉には、笑うことしかできない僕
やわらかい夜をそっと抱き、君との最後の夜を過ごす
その深く暗い時間に、今まで過ごしてきた轍をそっとなぞる時
もうすぐ最後の夜が明ける時まで、夜が明けて仕舞えば、お互いに全くの別人になる
目を覚ましたら 離れ離れさ
望んでいたこと 時間よとまれ
僕だけの君を この日のままで
さよならしようといくら決断しようとも、隣で眠っている彼女の顔を見れば
時が止まって欲しいと願う
僕だけの君のままで、この日のままでいつまでも続いて欲しいと願う
彼女が目を覚ましたら、終わってしまうから
だから彼女は、僕の隣で眠ったふりをする
彼女に伝えたい最後の言葉は

ひとりぼっちだって 信じることに
臆病だった頃 君に出会った
愛しているって 言われて僕は
初めて僕になれた 気がした
何も言わずただ僕を支えてくれた存在
嬉しいときも悲しい時も辛い時もそばにいてくれ、幸せな時間を作ってこられた
そんな君からもらった愛で、僕の存在意義を示していたんだと
何も言わなかったんだ
いや、何も言えなかったんだ
変わりたくないけど、変わらなきゃいけない
もう君に甘えたりもしない、忘れたい忘れよう、いや、忘れないように
ただ、振り返らぬように決心する
もうすぐ明ける夜を背に、どうしても君に伝えたいこと
君に出会えて 本当によかった
寝たふりを続け、目を瞑って泣いている僕の恋人だった人へ
さよなら 深い夜と共に
一生聴き続ける失恋ソング大賞受賞(出典:ささだぱん)

寝たふり続ける僕の恋人
この一節、素敵ですよね。詩の主人公はあくまでも僕であるのに対し、まるで隣の彼女の心情すら浮かび上がってくる。
別れを強いられたのか、別れざる負えなかったのか
時の流れに対し、必死にもがく二人の姿が暗い部屋と共に浮かんできます。
この曲の核となる歌詞の表現に『コンドーム』という言葉が使われますが、大柴さん曰く、レコード会社から変更の通達があったみたいですが、こだわりのある歌詞だったため、断りを入れたそうで、その結果クビになってしまったそうです。ただ、その強いこだわりのおかげで、この言葉でしか出せない重みと深みが今もこの曲が美しくある魅力の一つであると思っております。
10年以上も前の楽曲ですが、私は未だに深い夜になるとふと聴きたくなる曲です。
疲れた時とか、楽しかった時とか、心情やイベントなどは関係なく、ただトリガーは一つだけ、深い夜に聴きたくなるんですね。
こちら『ばずぱんだ』さんが歌ってみているものもぜひ聴いてみてください

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