分厚い布団に毛布を重ねてヤドカリの生態模倣をする季節
肺さえ凍ってしまいそうな冬眠の季節ももう終わりを告げ
春眠の季節がやってきた今日この頃

暖かい季節に、もはや半袖でも過ごせるくらい心地いい気温なのだが
春は、何よりも「花粉」という大敵が空中に浮遊しており
肉眼では見えない小ささで、私たちの命を脅かす
そんな恐ろしい外の世界に出る理由もなく
私は今日も今日とて部屋に引きこもる
けれど、不健康と運動不足という逆らえない言葉たちに腕を引っ張られるようになんとなく外へ足を踏み出す
これといって出かける用事もないし、ただ、近くの少し大きな公園へと足を向ける
3段ほどの階段も、30°ほどの坂も
私にとっては、武者修行の場でしかなく、30秒ほどで足が棒になる
はぁ、神様どうか私の体力を全盛期のピンクレディほどにしてくださいと、天を仰ぎ懇願すると
ふと、春の花が視界に入る

まだ、満開というには枝が見え
吹雪くほどには、弱々しいそよ風
それでも、春の初めにふさわしい太陽が照らす桃色は、とても美しく、春の訪れを感じるには十分の光景だった
日向ぼっこをしながら、花見をする人々のひだまり
疲れはひどいし、ひどく足は重い
歩いた道のりは、電車でたった数百円で行けてしまう距離ではあるものの、それ以上の価値がその時間にはあった気がした
花を見て、陽にあたって、アイスを食べて
そんな時間に、改めてどんな意味を見出すのか
それは、数日後、ふとした瞬間に気づかせてくれるものだと、
いや、やっぱり鼻は痒いし、ティッシュの消費量も電車賃以上なので、もう少し考えよう