
月に叢雲、花に嵐
嵐が吹き荒れるようなこの世界で
何一つとっても、その晴れやかな空は長続きはしない
地に足つけて堅実に歩いる時間に疑問を持ってしまう自分にすら嫌悪を抱えてしまう
そんな世界でも
あなたがくれたモノの存在に気付いた時
それが何よりもかけがいのないものだとわかった気がした
取るに足らないこんな自分にくれたった一つの『それ』を
晴れやかな空を見せてくれたことを
ただあなたに伝えなければいけない
あなたがくれたものは・・・
苦しさ溢れる日常 『米津玄師』の表現
雨と風の吹く 嵐の途中で 駅は水面に浮かんでいる
轍が続いて遠い靄の向こう ひとりで眺めて歌っては
花に嵐
という表題から、儚く刹那に散る美しさと対比し、嵐のような日々を言葉で表現する
そんな米津さんの言葉たちは、改めて『米津玄師の詩』の真骨頂と言える
雨や風に嵐、やっと辿り着いた目的地を振り返っても、その轍しか残っていない
そして、それを眺めては、ひとりで歌を歌う
悲しく歌を歌うような、取るに足らないこんな私
そうだあなたはこの待合室 土砂降りに濡れやってくるだろう
そのときはきっと笑顔でいようか もう二度と忘れぬように
でもそれは、あなたと歩む道なら何も怖くはない
私を知ってくれるあなただから、悲しみも綻びさえも手を繋いで歩いていける

この嵐がいなくなった頃にあなたに伝えたい
わたしにくれた 不細工な花 気に入らず突き返したのにな
あなたはどうして何も言わないで ひたすらに謝るのだろう
無情な嵐の中でも、あなたはひたすらに笑ってい続けてくれた
私にその花を渡し続けてくれたのに
美しさも分からずに受け取らず突き返したとしても、あなたは何も言わない
何も言わず、花を渡し続けてくれる。謝りながらもひたすらに
悪戯にあって 笑われていた バラバラにされた荷物を眺め
一つ一つ拾い集める 思い浮かぶあなたの姿
きっとあなたも抱えきれず、耐えきれない嵐に吹き荒らされているだろう
苦しくても、私のことを思い続けてくれるのだろう
こんな不甲斐ない私に、傷つきながらもそばにいてくれているということ
そう気付いた時
はにかんで笑うその姿が、とても寂しく見えた
あなたに伝えなくちゃいけない
私の全てはあなただってことを
私にとっての花はあなただってことを
悲しくて歌を歌うような わたしは取るに足りなくて
あなたに伝えないといけないんだ あの花の色とその匂いを
はにかんで笑うその顔が とてもさびしくていけないな
この嵐がいなくなった頃に 全てあなたへと伝えたいんだ
苦しいとか悲しいとか、寂しいとか言えずにいた私
ずっと一人でうずくまり、ただじっと嵐を過ごしてきた私
そんな私に、嵐の中にでも現れた存在があなただったこと
あなたに会うために、今までの嵐はあったのだと
今までにも経験した花の色をあなたにも伝えたい
あなたから貰った花の匂いをあなたに教えたい
そして、これから経験する嵐も、そして花も
あなたがいるから見えるものを大切にあなたに伝えていきたい
あなたがくれたのは、花
あなたがくれたのは、花
『花』と『嵐』は移り変わりではなく
嵐の中でも咲き誇る花に気づいて、そっと手に取ることができれば
それが私にとっての生き甲斐となるということ