気持ちよく起き、何も考えず落ち着いて寝られた日って人生に何回あるのだろう
「最高の日だった」と振り返られる日って何日思い返せるだろう

何事もあると、何事も求めなくなってしまう
ひどく長い旅路の中で、もはや望みもしない壁を乗り越えることが生きる意味に思えてしまうような日々を生きる私たちは、膝を抱える時間すら許されない
もう、何も望みはしないから
何も起こらない毎日がいい
そうとさえ、思ってしまう
ただ、生きる日々はそうではなく
陽の暖かさに気づいたり
風は意外と柔らかいと知ったり
何気なく通り過ぎていた街路樹に触れてみたり、好きな色の花を見つめてみたり
そんな心にある余白に、美しいものを詰められるだけ詰める時間をきっとみんな求めている
この先に見える圧倒的な暗闇が続くとなると、どれだけ輝いた轍を振り返ろうとも、そのどれもがちっぽけに見えてしまう
でも、決して忘れないで
確かにあなたは輝いていたことを
新たな体験に心躍らせていたこと
友とその目に映る景色を笑い合ったこと
愛を確かめ合ったこと
今を苦しむあなたにとって、そのどれもが背中を押してくれるものかわ分からないけれど
回る時計の針の跡は
見えないだけで、消えてはいないことを
目の前に広がる景色はとても豊かで、揺れる灯火に一喜一憂する
美しく羽ばたくカラスと歌う針葉樹、揺れるその影をいつまでも追い続ける
見つめる全てが面影になって、それは誰とも共有できない
あなただけの足跡になる