
世界一美しい発射場である「種子島」
ある夏の日、その小さな世界で繰り広げられる小さな恋の物語
新海監督の代表作とも言える
「秒速5センチメートル」
その中でも、第二話「コスモナウト」は特別な話
たった20分ほどの話だけれど、これほどまでに胸の奥に残り、原風景として瞼の裏に焼きつくのはそれほど魅力高い作品だからだろう
青天の霹靂の出会い

漠然とした将来に彼女は悩んでいた頃
ある日現れた、特別な人
他の人とはどこか違くて、完璧な人で私には一番輝いて写る
彼の姿を見るたびに、どんどん好きになっていって、それが怖くて、毎日が苦しくて
でも会えるたびに幸せで
自分でもどうしようもなかった
私が頑張れる理由は、全部彼のおかげ
彼がくれる言葉は、私の心を踊らせてくれる でも少し、彼の姿を見ると胸の奥が苦しくなる
将来のこともわからい。彼へ思いを伝えることもできない そんな自分に少しずつ嫌気がさす中 いつものように特別な時間、彼との帰り道を
完璧だと思っていた彼にだって悩みがあること

帰り道、偶然見つけた彼の単車
きっといるであろうその場所へ向い、彼の姿を見つけるもどこか違う世界に心があることがわかる
明日のこともよくわからない彼女と違って、彼は遠くへ行きたそうだった
少しだけ本音で語った彼女に、彼も口を開く
余裕なんてなくて、彼女と同じように明日のこともわからないままに先に進んでいることを

やっと遠くの未来に目を向けられることができた。目の前のものをみるという、一番簡単で、一番難しい方法
それも全部、彼が教えてくれた。私の五臓六腑を動かすのは間違えなく彼なのだと。
波に乗れた今、彼に伝えなくてはいけない 今言わなければこの先もずっと言えない
これ以上私に優しくしないで

何度深呼吸をしても落ち着かない
彼は必ず私の名前を呼んでくれる 一緒に帰ろうって誘ってくれる
いつも彼が選ぶコーヒー牛乳を選んでみる 振り絞って、彼の裾を掴んでみる
ただ、隣を歩くだけで胸が苦しくなる あなたをこれ以上にないほどに想っているけれど これ以上思うほど、胸が締め付けられること
これ以上優しくしないでほしい
揺れる花、波打つ水たまり

一緒に見た、別次元にも感じる打ち上げられたものは、きっと一生忘れない
その時、彼は私を見ていないことに気づいた もっと遠くの、もっとずっと遠くの何かを見つめていた。
私が彼に望むことは、きっと叶わない
それでも私は、彼のことをきっと明日も明後日もその先もどうしても好きなんだと思う
彼のことだけを思いながら、可惜夜に優しく瞼を閉じる
三話の中で主人公が違う「コスモナウト」

この作品において、主人公は、紛れもなく「遠野貴樹」
彼が好意を向ける人も、その理由が強いことも、視聴者はよく理解している
感情移入する先は、主人公である遠野であるからに、この2話目「コスモナウト」は異質とも呼べる
決して、花苗には思いを寄せることはなかった。それは、きっと彼女の思いに気づいていても
彼女の言葉で唯一響いた
「時速5キロなんだって」
という言葉も
思い浮かんだ顔は、遠く、遥か彼方に息をする存在
出す当てのないメールだけが溜まっていく彼の視線の先には、一人しかいない
そんな儚い恋燃ゆる夏の時間
それでも、彼女はこれからも、頭の片隅には彼の存在が生き続けるだろう
実写映画『秒速5センチメートル』2025/10/10 公開
ついに実写化される『秒速5センチメートル』
思い出深い作品であるが故、期待も高まるファンも多いように見受けられる
主題歌米津さんだし
美しい描写が多い新海監督の作品が、どのような絵になるのか
一味違う『秒速5センチメートル』として、期待していきたい

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