
朝の風を感じると両手を広げるように、夕日を見ると深呼吸をするように、夜には感傷的になるように。その人にとって日にちや時間。風景から思い出すモノってあったりしますよね。私は、その私にしかわからないこと。私にしかない思い出を日々大切に生きています。いい思い出も、思い出したくない思い出も。大切です。
そんな、彼らだけの時間。彼女たちだけの時間をお互い大切に失わずに持って日々を生きる、二人の物語。
映画「ちょっと思い出しただけ」

出演は、池松壮亮さんと伊藤沙莉さんのお二人がカップル役を演じる。お二人の演技が自然でいて、彼ら彼女らの日常を鮮明に映し出してくれています。喋り方や葛藤時の表情がとても日常的であるからして、視聴者も自分達の過去と照らし合わせて感情移入するのではと観てとれる素晴らしい演技でした。
ここからネタバレ注意
「思い出すトリガー」はきっと共通で
きっと彼ら彼女らは、お互いのこと思い出すトリガーは共通でそれは二人以外には絶対にわからないこと。他人から見たら些細なことなのだろう。7月26日の誕生日。必ずその日に、何かが起きていた。二人にとって特別な日ながら、二人を離すきっかけにもなった日。ふと思い出す瞬間には、必ず理由があり、私たちも例外ではない。
なんとなくケーキが食べたくなった彼女も。あの時踊った踊りを舞台で踊り続けた彼も。
忘れられない思い出を持ちながら、またきっと彼ら彼女らは、思い出し続けるのだろう。
美化される過去に対しても
苦しかったはずのモノも過去になれば美化されるものって多いと思うんですよね。苦しかった部活や死ぬきでやり遂げた受験勉強とか。また戻りたいかは別にしても、その当時の記憶が鮮明に残っているからこそ、当時の気持ちすらすぐに思い出せてしまいます。
きっとそれらは思い出そうとして思い出すものではなく、それぞれの「トリガー」があるのだと思います。あの時と同じ風や匂いを感じたり、風景をみたり。その当時好きだった曲を聞くとあの時の情景が浮かぶ経験は、歳を重ねれば多くなってくるはず。
「あの時ああして入ればよかった」よりも「あの時ああだったな」と思い出せる違いに気付いた時、美化された過去が増えたことに気づく。
そんな想い出をちょっと思い出してみてもいいのかも。
主題歌 クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」
クリープハイプの尾崎さんも映画内に出演しています。かなり良い雰囲気の役で私は好きでした。
是非映画と一緒に曲も聴いてみてください。一度聞くと夜にまた聴きたくなる曲です。