
1990年から1996年にかけて「週刊少年ジャンプ」にて連載された大人気漫画、『SLAM DUNK』。
読んだ人全員を魅了し、酷評する声をあまり聞かない大傑作漫画ですが。そんな、大人気漫画が突如26年ぶりに映画化ということで、長年の熱狂的ファンはさぞ盛り上がったことでしょう。
そんな、『SLAM DUNK』の映画『THE FIRST SLAM DUNK』について語っていこうと思います。
※中盤からネタバレ注意です
圧倒的なアニメーションで視聴者を魅了
今回はなんといってもぬるぬる動くアニメーションが特徴的で、みんなのファーストインプレッションは同じだったのではないでしょうか。あれは、所謂3DCG・モーションキャプチャーを使用し作成されており、人間のリアルな動きと、アニメーション特有の躍動感が合わさり、他にない「バスケットアニメの傑作」の成り上がったというわけです。
そしてなんといっても
主題歌・BGMが織りなす緊張と緩和
が、この作品の醍醐味ですね。「10-FEET」さんを始めとする楽曲の数々はほんとにこの作品のためにあるものだと、重ねて見るたびに思います。『第ゼロ感』は鬼リピです。
私は、たくさん映画を観てきましたが、こんなに手に汗握る作品というものは、なかなかありません。正直な話、先の展開は原作を知っているため、分かってはいながらも、ワクワクとハラハラを何回見ても味合わせてくれました。
私が思うにこの作品は、
わざと濁すほどでもないのですが、私が思うにこの作品は、
原作を読んでから観て欲しい
ということです。
もちろん、先ほど書いた、圧倒的なアニメーションやバスケアニメとしての出来とシナリオ。音楽が湧きたてる高揚感を体験するには、原作を読んでいなくても楽しむことができます。
しかし、この作品を『SLAM DUNK』として楽しむには、やはり原作を読むことをお勧めします。26年経っても色褪せない『SLAM DUNK』という作品には、それだけの魅力があるので、ぜひそれを肌で感じてみてください。後悔はさせない作品です。
※ここからネタバレ注意です


今回の主人公は、宮城リョータ

今回の主人公は、なんと言っても「宮城リョータ」でしたね。
原作には描かれなかった、「リョータ」の過去。彼の抱える葛藤と母と兄と妹との家族関係を試合の要所要所でカットインしていく構成で、より山王戦への感情移入が深くなったと考えます。
いつでも平静を装いながらも、本当は心臓バクバク。それでも、2年生にしてガードという大役を任され、それに応えるリョータの実力は、計り知れませんね。
今回の主人公は、宮城リョータ。しかし、やっぱりこの人が主人公
大筋の主人公は、リョータでしたが、スタメンの「ゴリ」「三井」「流川」「桜木」全員の見せ場がしっかりとありました。それぞれが、背負うモノ。バスケに対する想いと熱さを一つの映画で綺麗にまとめ上げているのが、この作品です。なので、リョータだけではなく、メインキャラ全員の魅力が描かれていたのです。

当たり前のことですが、この作品は、『SLAM DUNK』。原作の大筋になぞられているため、やはり大元の主人公の「桜木花道」は、どうしたって主人公なのです。
彼がバスケを始めたのは、4ヶ月前。15・6年間何かに打ち込むことの無かった桜木が、初めて本気で上手くなろうとしたモノ。側から見たらただの4ヶ月。そんな4ヶ月は、彼の15・6年間の人生には、大きすぎるモノだったのでしょう。
だからこそ、選手生命という言葉を耳にした時、彼の頭には苦しかった練習の風景が浮かんだのでしょう。そして、仲間の想い・目標も手が届くところにある。だったら、『今』この時に全力を注ぎたい。あの安西先生をも動かす彼の強い思いには、視聴者の我々も心を揺さぶられました。

ソーちゃんにはなれないけど・・・

この映画で、またリョータにとって大きな存在である、兄「宮城ソータ」。
バスケが頭一つ抜けて上手く、幼くして亡くなったソータは、その後のリョータと母との関係にも影響を及ぼします。
バスケをするリョータに兄の姿を重ねてしまう母。
兄が大好きだったバスケを、兄が亡くなった後でも続けるリョータ。
互いに互いの思いを分かりながらも、決して直接言葉にはしない。苦しく、やりようの無い思いを抱きながら長らく過ごします。そして、兄の夢でもあった「インターハイでの山王への勝利」や妹の言葉などいろいろな要因が重なり、互いに寄り添うことを決めます。
リョータが手紙に書き始め、すぐに捨てた「あの一文」は、きっと今までずっと抱いてきたことなのでしょう。それでも、周りには当たったりはしない。側から見たら平常心に見える「リョータの強さ」はこの映画だからこそ見えた要素。それを、支えてきた「バスケ」という存在を否定しなかった母親の存在も、リョータには大きかったのでは無いでしょうか。
ソーちゃんにはなれない。
「なれなくても」、「ならなくても」良いと、リョータはリョータのままで良いのだと、本人も母も気付いた時、お互いに寄り添い合うことが出来た。私はそんなふうに受け取れました。
語りきれない『THE FIRST SLAM DUNK』

『THE FIRST SLAM DUNK』という作品は、語り尽くせない魅力が様々にあります。今回は、リョーちんを中心に語りましたが、山王の選手の魅力。圧倒的な存在である安西先生などなど、どんなキャラクターにスポットライトを当てても映えるのが、魅力ある『SLAM DUNK』のキャラクターなのです。
私は、この作品に出会えて良かったと思える『SLAM DUNK』ファンの1人です。是非この思いを共有できる人にこの記事を見てもらえたなら幸いです。