
眠れない夜があるなら眠らなきゃいい
恐ろしい夜があるなら薙ぎ払える声に縋ればいい
なんて、出来ればそんなことやってるよと。いつも思う。
諦めの言葉も、逆転の言葉も。窮地に追い込まれた当の本人には届かないもので、結局は自分でどうにかしなきゃいけないのだが、そう思えば思うほど、夜の沼にハマっていく。
眠れないからと歩く夜道。
非日常的感覚に少しの高揚感も交えながら、それでも当然のように襲ってくる孤独感に恐怖を覚える。怖くて、不安で、恐ろしい。一人が好きだけど独りに恐怖を覚えている自分の弱さに嫌になる。
何もかも投げ出して、背負うもの全部捨てて仕舞えば、きっとあの薄い布団とタオルケットでもぐっすり眠ることが出来るだろうに。逃げ出すことを決め、無理に寝ようとしないことを決断した夜ほど肩が軽くなることはない。
そうか、だから諦めを吐き捨て、目を瞑るしかないのか。
独りが恐ろしいのなら、縋る肩を呼ぶしかないのか。
震えて、泣き叫べたらどれだけ楽か。
眠れない夜があるたびにこんなことを頭の中で反芻する自分に一息ため息をつきながら。
軋み痛む腰と肩を摩りながら、今日も薄いタオルケットに包まり、目を瞑る。