
コート上で華麗に舞、テニスを見る全ての人を魅了したロジャー・フェデラー
どんなボールでも必ず追い続け、壁を掻き分け頂点を掴み取ったアンディ・マレー
そして、それは、とても印象的で。それは、とてもファイターで。そして、赤土で走り続けた男。
ラファエル・ナダルは、2024年デビスカップを最後に引退した。
いつの時代も彼は彼のプレースタイルを続けた

私は、フェデラーのファンだった。いつの日もフェデラーの優勝を願い、邪魔をするものは嫌悪していた。もちろんナダルは、その一人。
フェデラーのライバルとして居続けたナダルは、本当に強かった。認めたくない、いつだってフェデラーの方が強いんだ、なんて、子どもながらに子どもじみた悔しさを何度もテレビの前で握りしめていた。
土では強すぎる。ラリー戦でナダル相手にエースが取れない。絶対的な守備テニスでも、何であんなに強かったのか。
ネットプレイとストロークが相交るサンプラス、アガシ時代からフェデラーが継承。そこにナダルも参入し、ストローク戦の時代を築き上げた。そのストローク戦はラケットの進化と共に球威とスピン量が増し、ベースライン上から攻撃的な攻防が繰り広げられるのが今の主流となった。
それでもナダルは、ベースラインから何メートルも下がり、守備テニスを主流とし、パワーとスピン量で勝負し続け第一線で活躍し続けていた。
スペインテニスの圧倒的象徴であり、クレーキングとして輝くに値するそのプレースタイルは、唯一無二なのだと今でも感じる。

今思えば、フェデラーの対極にいた存在であるナダルに魅了されてた。
過去の動画を見ているとフォアのフォームでだいたい年代がわかる。サーブのフォームは変わっても、ルーティンは変わらない。
一人のテニス選手として、魅了があり過ぎるRafael Nadalという選手は、人としても尊敬できる人だった。
1250 Babolat racquets and 0 broken one

ナイキがナダル引退記念として出したこのラケットバッグ。
ナダルの今までの記録などが書かれている中、そのバッグにはこの一文が印字されている。
1250 Babolat racquets and 0 broken one
-バボララケット 1,250 個、壊れたラケット 0 個-

これだけでどれ程尊敬に値する人なのか、分かるはず。
一本も壊していない、そして、試合中叩き付けてる事すら記憶にない。
当たり前だと言われることかも知れないが、その当たり前を20年以上続けてきた彼は、本当に尊敬に値する人物なのだ。
試合後には退場する相手を必ず称える。ボールボーイ、ガールにも敬意を示し接する。

タイトルや数字は記憶に残るからみんな覚えている
それよりも覚えて居て欲しいのは、僕がマヨルカ島の小さな村出身の人間だということ
この言葉で、彼の人柄がすごく伝わってくる。きっとテニスファンのみならず、彼に魅了された人は絶対に忘れない。
引退に際し、かつてのライバルフェデラーがナダルへ送った言葉にこんな文もある
私はあまり何かを信じる人間ではありませんが、あなたは私を次のレベルに引き上げました。あなたのすべてのプロセス、すべてのルーティン、おもちゃの兵隊のようにボトルを列に並べること、髪を整えること、アンダーウェアを整えること... そのすべてが最高の熱意とともにありました。密かに私はそのすべてがとても好きでした。とてもユニークで、あなたらしいものだったからです。
そして、ラファ、君のおかげでテニスがもっと楽しくなりました。
フェデラー 引退ナダルに長文メッセージ全文はこちらから
ささだぱんが選ぶナダル名試合
私独自の名勝負をいくつか紹介します
全豪が多くなっちゃった
残り一人となったBIG4 と継承してくれる若手たち

私たちは、本当に恵まれた時代にテニスを見ることができた。
テニス界を象徴する存在フェデラーに続き、クレーキングのナダル、最強ジョコビッチ、イギリスの英雄マレー
BIG4だけではなく、それらに追随するようにツォンガ、バブリンカ、デルポトロ、チリッチ、錦織などなどカッコ良く、見て居て楽しい選手が多かった。
ただ、そんな過去の思い出に浸っている私は、かなりもったいないことをしている。
今、それらを継承している第一線の選手たちを見れば、その人たちに負けず劣らず魅力的なテニスをしていることは、一目瞭然。
今いる最後のBIG4のジョコビッチ。日本の英雄錦織に続き、イタリアの新鋭シナー。若き王者アルカラスを筆頭に次に出てくる若手が今もなお育っている。
私たちと同じように彼らの背中を見てテニスの頂点を目指す物たちが。
ありがとうナダル。本当に楽しかった。